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超音波(エコー)検査

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第2回 見えるもの、見えないもの、診えるもの、診えないもの

はじめに

前回は、超音波検査の概要について解説いたしました。今回は引き続き、その検査で「みえるもの、みえないもの」をご説明いたします。検査に際し、患者様からは「超音波検査では何を見ているのでしょうか?」とのご質問をよく受けます。同検査では、主に肝臓、胆道(胆嚢・胆管)、膵臓、脾臓、腎臓の各臓器に腫瘍や嚢胞、結石等ができていないかなど、器質的な異常はないかを診ています。

腹部超音波検査で診えるもの

  • 肝臓:肝臓がん、肝炎、肝硬変、肝嚢胞、肝腫瘤、脂肪肝、大きさなど
  • 胆道:胆嚢がん、胆嚢ポリープ、胆嚢炎、胆嚢・胆管結石、胆管がん、大きさなど
  • 膵臓:膵臓がん、膵炎、膵嚢胞、膵腫瘤、大きさなど
  • 脾臓:脾腫、脾嚢胞、大きさなど
  • 腎臓:腎臓がん、腎嚢胞、腎結石、尿管結石、大きさなど
  • 前立腺:大きさ、腫瘍、石灰化など
  • 子宮・卵巣:腫瘤など
  • 膀胱:膀胱がん、膀胱結石など
  • 胃・腸管:がん、拡張、壁の状態など

この他にも腹部超音波検査で診えるものは数多くあります。

超音波検査では診えないもの

腹部超音波検査の観察範囲

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同検査では、骨や腸管ガスがあると超音波が反射したり、拡散したりしてしまうため、その裏側は見えづらくなってしまいます。今回、心窩部痛を主訴に前年度に受診された患者様の中から、腹部超音波検査で痛みの原因が分かった方と分らなかった方を対象に、医師の検査オーダー時の病名がそれぞれどのようであったかを調べてみました。その結果、原因が分からなかった方で最も多かったのは「胃炎」でした(胃炎の中には萎縮性胃炎、表層性胃炎、びらん性胃炎等が含まれます)。続いて、逆流性食道炎、耐糖能異常(血糖値が正常ではないが、糖尿病には至っていない症状のことで、一般的には“糖尿病予備軍”という呼び方をされています。但し、それだけでは心窩部痛の症状には繋がりません)が続きます。心窩部痛で超音波検査を受け、同検査では特に原因が分からなかった患者様の約80%に胃炎もしくは逆流性食道炎がみられました。これは裏を返せば腹部超音波検査では診えないものが見えて(分かって)きたとも云えます。
次に、腹部超音波検査で心窩部痛の原因が分かった方(心窩部痛で同検査を受けた方の全体の14%)の内訳をみますと、最も多かったのが、胆石・胆嚢炎(同7%)、次に腸炎(同3%)、膵腫瘍(同1%)と続きます。ここで特に気を付けたいのが膵腫瘍です。膵臓は胃の後ろ側に位置するため早期発見が難しいのですが、被爆等の心配がなく患者様の負担が殆どない腹部超音波検査は、その診断に有効な検査法の一つと云えます。
加えて、右下腹部痛を主訴に同検査を受けられた患者様についても同様の調査をしたところ、虫垂炎(いわゆる“盲腸”)が全体の19%を占め、続いて大腸憩室炎(憩室とは腸壁の脆い部分が腸の外側に袋状に飛び出したもので、そこに炎症が起きた状態です)が17%、腸炎が9%との結果でした。このように、右下腹部痛においては原因の約半数を同検査にて得ることができました。

腹部超音波検査を受ける際の注意点

以上のように、超音波検査には“診えるもの”と“診えないもの”がありますが、腹部超音波検査でより良い画像を映し出すために、患者様には以下の点を注意していただく必要があります。

  • 検査当日は、朝食を召し上がらないでご来院ください。検査前に食事をされますと、胆嚢が収縮し観察しづらくなります。
  • 尿を溜めた状態(我慢できる範囲で結構です)で検査を受けていただくと膀胱、前立腺、子宮、卵巣が観察しやすくなります。
  • 常用している薬がある場合は、検査に支障がないか診察時に主治医にご確認ください。

まとめ

今回は、腹部超音波検査で「みえるもの、みえないもの」について、ご説明いたしました。同検査は簡易に受けられ(ちなみに費用は、保険診療3割負担で1,500円程度です)、かつ見える範囲が広い検査ですので、特に心窩部痛・背部痛を感じる場合や1年以上検査を受けていない方には、スクリーニング目的の検査としてお勧めいたします。

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