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超音波(エコー)検査

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第1回 知っているようで知らない超音波検査

はじめに

超音波検査は、広く医療機関において実施されている検査法ですが、そもそも「超音波」とはどのような性質のものでしょうか。検査を初めて受ける方もおられるかと思いますので今回は、そこからお話をいたします。 

超音波とは

「超音波」という言葉には“音”という漢字が使われていますが文字通り、この検査は“音”を利用した検査法です。音とは物質の中を伝わる振動を云い、1秒あたり1回の振動を1Hz(ヘルツ)という周波数で表します。人間の耳に聞こえる音の範囲の周波数は、概ね20Hz~20kHz(1kHz=1,000Hz)と云われています。これより周波数が高く、人間の耳には聞こえない音を超音波と呼びます。その超音波を体外から身体の中に向けて当て、反射される超音波(これを“エコー”と云うため、同検査はエコー検査とも呼ばれます)を電気信号に変換し、体内の状態を映像化して疾患の有無や臓器の機能等を調べる検査が超音波検査です。
超音波の活用の歴史は、1912年に発生した豪華客船タイタニック号の沈没事故にまで遡ります。同事故を契機に、海中の氷山の位置を調べる方法として超音波が活用されるようになりました。船舶から発せられた超音波が跳ね返って来るまでの時間を測定することにより3km先の氷山まで発見できるようになったそうです。医療用としては1950年代から研究が進んできましたが、特に注目を浴びたのは産婦人科領域における1976年の「山下さんちの五つ子ちゃん」への応用で、これをきっかけに飛躍的に進歩したとの逸話もあります。

超音波検査の特徴

超音波検査の優れた特徴としては、以下が挙げられます。

  1. 体外式の超音波検査は、非侵襲的で患者様に苦痛を与えない。
  2. 超音波を用いた検査のため、生体への傷害がない(X線を使用しないため被爆がない)。
  3. 特別な準備を必要とせず、操作が簡便である。
  4. 様々な方向から観察が可能で、1回の検査で多くの臓器を同時に観察できる。
  5. 検査目的は、スクリーニングから精密検査、更に緊急時までと幅広い。
  6. 実質臓器(消化管における肝臓・膵臓等)・脈管・胆管等の描出に優れている。
  7. リアルタイムでの画像観察が可能である。
  8. 検査の結果が即時に得られる(検査結果については、診察時に医師から説明いたします)。
  9. 装置が小型であるため、検査の実施場所を選ばず移動性に優れている。
  10. ドプラ法により血流の動態が評価できる。
 

一方、短所としては以下があります。

  1. 脂肪や骨、腸管ガスの影響を受けやすい。
  2. 身体の深部では超音波の減衰があり、臓器組織までの距離に画像が影響される。
  3. 観察可能な視野が狭い。
  4. 検査技師の技量がそのまま検査の精度に反映される。

なお、①②③につきましては、大きく息を吸っていただいたり、息止めや体位変換、水を飲んでいただく等、患者様の協力により軽減することができます。また④の対策として、習熟度の浅い検査技師にはベテラン技師が付いてダブルチェックをすることで検査精度を担保しています。
また、患者様からは「超音波検査ではどこを見るのですか?」との質問を受けることがあります。当院では、部位別検査として「腹部」「骨盤」「その他」の区分があります。「腹部」の場合に主に観察するのは、肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓・腎臓です。「骨盤」では大腸・小腸・血管・大動脈瘤・膀胱に加え、男性では前立腺、女性では子宮・卵巣となります。「その他」では下肢静脈、甲状腺、心臓、表在(皮膚表面に近い部分にできた腫瘤等を調べる)があります。

まとめ

以上、述べてきましたが、これらの特徴を最大限に活かすには、検査技師の高い技能が求められます。そのためにも日々知識・技術の向上に努めると共に、数多くの症例観察が必要となります。なお、検査技師の一定水準の技能を証明するものとして、日本超音波医学会による超音波検査士の認定制度があり、当院には4名が在籍しています。
超音波検査では、検査技師と患者様の協力関係が欠かせません。より良い画像を映し出すためにも検査の際には、ご協力をお願いいたします。

腹部超音波検査の観察範囲

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