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膵臓病講座

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第8回 その他の膵腫瘍について (2)神経内分泌腫瘍

はじめに

今回は、前回に引き続き、その他の膵腫瘍として内分泌性膵腫瘍の種類や診断・治療法等を説明いたします。

膵腫瘍の種類

膵臓は、様々なホルモンを分泌しますが、その機能を担うのが膵臓内の〝ランゲルハンス島〟です。このラ島を構成する細胞が腫瘍化したものを「神経内分泌腫瘍」と云います。小児から高齢者までのあらゆる年齢層で発症しますが、膵腫瘍全体に占める割合は2~3%と稀な病気です。
同腫瘍は、比較的悪性度の低い腫瘍と悪性度が高く進行の早い神経内分泌癌に分けられます。前者は、膵管癌(膵癌の90%以上を占める 5年生存率10%)に比べて治り易い膵癌(同率70%)と云われ、ホルモンの過剰分泌により特有の症状が現れる「症候性腫瘍」と、症状が殆ど生じない「無症候性腫瘍」に区分されます。なお、神経内分泌腫瘍は、症状があるから進行しているとは限りませんが、自覚症状が早期発見のきっかけになるため注意が必要です。

1.症候性腫瘍
(1)インスリノーマ
血糖値を下げるインスリンを過剰分泌する腫瘍で、神経内分泌腫瘍の中で最も多く(約70%)認められます。腫瘍の大きさは2㎝以下で、殆どが単発の良性腫瘍です。
症状:冷や汗、動悸、意識消失、眠気、けいれん等の低血糖症状が現れます。意識が朦朧として異常行動を伴うこともあり、脳神経疾
   患や精神病と間違われることもあります。低血糖症状は空腹で悪化し、食事(糖分)摂取で治まります。患者様は経験的に
   それを知っているため、無意識に食べて症状の発現を抑えるため結果的に肥満になる方が多くみられます。

(2)ガストリノーマ
胃酸分泌を促進するガストリンは本来、胃粘膜から分泌されますが、これを産生する細胞からなる腫瘍が膵臓や十二指腸にできます。このガストリノーマは、神経内分泌腫瘍の約20%にみられ、過半数が悪性です。
症状:胃酸が多量に分泌されるため、胃痛や胸焼け等の過酸症状、消化不良や下痢、難治性の胃潰瘍・十二指腸潰瘍および潰瘍出血・
   穿孔を起こします。

(3)グルカゴノーマ
血糖値を上げるグルカゴンを過剰分泌する腫瘍で、殆どが膵臓にできます。
症状:糖代謝の低下により軽い糖尿病になったり、身体の各所に痒みを伴う赤い発疹が現れ皮膚が壊死したり、血液中のアミノ酸が少
   なくなったりします。

(4)その他
非常に稀な腫瘍として、VIP(血管作動性腸管ペプチド)と云う消化管機能を調整するホルモンを異常分泌するバイポーマ(大量の水様性下痢、低カリウム血症、無胃酸症)、ソマトスタチンを過剰分泌するソマトスタチノーマ(胆石、耐糖能異常、脂肪性下痢、低酸症)があります。


2.無症候性腫瘍
無症候性腫瘍は、神経内分泌腫瘍の15~20%を占め、30~50歳の女性に多くみられます。自覚症状は殆どなく、健診等で偶然発見されるため膵癌との判別が重要です。

 

検査・診断法

症候性腫瘍では、症状の詳しい問診のうえで、ホルモン分泌異常の有無を血液検査で確認します。次に、腫瘍が何処にいくつあるか、大きさや拡がり、遠隔転移の有無等を超音波検査、造影CT検査、MRI検査等で調べます。周囲の臓器や血管に拡がっている、肝臓・リンパ節に転移がある場合は、悪性と診断されます。また、腫瘍の大きさが5㎝を超える場合、腫瘍内に石灰化や壊死を認める場合は、悪性が疑われます。
無症候性腫瘍の診断も同様の手順です。

治療法

神経内分泌腫瘍の治療では、切除が基本です。手術法は膵癌と同様ですが、悪性度の低いインスリノーマ等の場合、腫瘍だけを切除して膵臓を温存する膵機能温存縮小手術を選択します。主膵管から離れた部位では、腫瘍のみをえぐり取る核出術を行います。また、膵体部腫瘍では、膵体部を切除する中央切除術を行い、その再建法には膵体尾部を空腸や胃と繋ぐ膵腸吻合・膵胃吻合、膵頭部と膵体尾部を繋ぐ膵膵吻合があります。
全身状態不良や遠隔転移により手術が出来ない場合、ホルモンの働きを薬剤で抑えて症状を緩和する抗ホルモン療法があります。なお、抗癌剤には有効なものはなく現在、臨床試験が行われています。

まとめ

神経内分泌腫瘍は、症候性腫瘍と無症候性腫瘍に大別されます。前者は更にインスリノーマ等、ホルモン症状により分類されます。これらは稀な腫瘍であるため、専門病院での診断・治療が重要です。

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