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膵臓病講座

トップページ»  膵臓病センター»  第7回 その他の膵腫瘍について (1)嚢胞性膵腫瘍

第7回 その他の膵腫瘍について (1)嚢胞性膵腫瘍

はじめに

今回は、最近注目されている前癌病変とも云われる嚢胞性膵腫瘍について解説いたします。

膵嚢胞性病変の種類

画像検査法の進歩に伴い、膵臓に水袋状の嚢胞性病変が発見されることが多くなりました。例えば、健診時のエコー検査で偶然に見つかることがあります。これには様々な性質の嚢胞があり、その特徴を見極めることが治療方針を決めるうえで重要です。これらは、通常の膵癌(5年生存率:10%)に比べて性質が良く、同率は50%と治り易い膵癌と云えます。以下、病変の種類別に主な特徴を述べます。

1.上皮に裏打ちされた嚢胞を形成するもの
(1)腫瘍性

  • 漿液性嚢胞腫瘍(SCN):中年女性の膵体尾部に好発し、比較的大きな病変が多く、内容は水様の透明な液体で、悪性であることは稀です。
  • 粘液性嚢胞腫瘍(MCN):中年女性の膵尾部に好発し、厚い壁を有し5~10㎝の比較的大きな夏みかん状の腫瘍で、内容は粘液性・粘血性、卵巣様間質が特徴です。緩徐な経過を辿りますが浸潤癌に進展すると予後は悪く、腫瘍切除が治療の原則です。
  • 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN):膵嚢胞性病変のうち最も多く認められます。膵臓には、膵液を集めて十二指腸まで送る膵管という管がありますが、そのうちの主膵管に生じるものを主膵管型と云います。腫瘍から産生された粘液により膵液の流れが悪くなり、主膵管が拡張することがきっかけで発見されます。一方、膵管の枝に発生するものを分枝型と云い、複数の膵管が嚢胞状に拡張しブドウの房状に見える特徴があります。主膵管型は悪性の頻度が高く、切除が必須です。悪性の頻度が低い分枝型は、乳頭状結節の隆起(5mm以上)で手術の適応を決めます。なお、これらの精査には、専門医によるEUS(超音波内視鏡検査)が不可欠です。
  • その他:腺房細胞嚢胞腺腫等

(2)非腫瘍性

  • 貯留嚢胞、リンパ上皮嚢胞、先天性嚢胞等


2.内部が融解して嚢胞状を示すもの
(1)腫瘍性

  • 充実性偽乳頭状腫瘍(SPN):若年女性(20~40歳)に好発し、大球状で内部は出血壊死性の不整嚢胞です。悪性度は低く、手術で完全切除すれば再発の恐れはありません。
  • その他:神経内分泌腫瘍(NET)等

(2)非腫瘍性

  • 偽嚢胞(急性膵炎後)、貯留嚢胞(慢性膵炎)等

検査・診断法

これらの病変を的確に診断するには高い専門性が求められ、容易ではありません。嚢胞の大きさ、内部構造、膵管との関係、膵管拡張の有無、特に膵炎様の腹痛や膵酵素の上昇、糖尿病の増悪等を念頭に置いて検査する必要があります。
上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭を観察し、腹部超音波検査で膵管拡張や嚢胞の有無・内部構造について調べ、更にCT検査・MRI検査で客観的評価をします。これらを経て、確定診断にはEUSを行います。紹介患者様の中には、持参された画像にはっきりと写っているにも拘らず、正しく読影されずに経過観察となっている方も少なくありません。特に腹部超音波検査は、検査技師の技量で画像描出の良し悪しが大きく左右され、肥満や腸内ガスが多いと描出困難となるため、病変が疑われるときは、CT検査やMRI検査を行い専門医の診断を仰ぐ必要があります。そのような時は、当院の膵臓病センターにご相談ください。

治療法

膵嚢胞性病変は、治療法により以下に区分されます。
①切除が原則となる腫瘍:MCN、主膵管型IPMN、分枝型IPMN(結節隆起が10㎜以上の場合、膵炎様症状を繰り返す場合)
②切除を勧める腫瘍:画像診断では鑑別困難なことが多いSCN、SPN
③経過観察が可能な腫瘍:結節隆起が5mm以下の分枝型IPMN、その他の嚢胞性病変
外科手術は膵癌に準じて行い、病変部位により膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵中央切除術、膵全摘術が選択されます。膵切離断面に腫瘍性病変がないかを術中の病理組織診断で判定し、陽性であれば追加切除します。
IPMNの経過観察は、病気の発見から最初の1年間は6ヶ月毎に腹部超音波検査、CT検査、MRI検査を実施し、その後の2年間は年1回、更にその後は2年毎に検査します。病変進展の評価に加え、併存膵癌にも留意し膵全体を観察します。5年以上経過後の併存膵癌の発生率は、9%に上るとの報告や拡張分枝の小さな症例で発生が多いという報告もあります。

まとめ

膵嚢胞性病変は、性質により様々に分類されます。そのうち最も多いIPMNは、浸潤癌に変化することがある「前癌病変」と考え、また膵癌の併存率も高いため専門病院での経過観察が大切です。

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