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膵臓病講座

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第6回 膵癌について(後編)

はじめに

前回は、最も難治性の癌と云われる膵癌の病因や診断法等について解説いたしました。今回は引き続き、その治療法を中心にご説明いたします。

膵癌の治療方針

膵癌の治療方針は、患者様の病期と全身状態により決まりますが原則として、外科手術が選択されます。その他に抗癌剤を用いる化学療法や放射線療法があり、これらを組み合わせた集学的治療も行われます。また、癌の進行により治療困難な場合は、患者様の生活の質を維持するBSC(best supportive care)という選択肢があります。

外科手術

外科的に切除可能な膵癌には、以下の条件が必須です。①肝・肺等の遠隔転移がない②腹膜播種性転移(腹膜に米粒をばら撒いたような転移)がない③広範囲なリンパ節転移がない④主要な動脈に浸潤がない等が挙げられます。
膵臓は、多くの臓器や重要な血管・神経組織に隣接し、癌が周囲を巻き込むように広がるため、膵臓だけを取り除くような手術では根治は期待できません。膵癌を含めて周囲臓器やリンパ節・神経組織等を一緒に切除することが最善の方法で、治療成績はより良好です。
外科手術では、癌の発生部位や広がり方により、以下の術式が選ばれます。

(1)膵頭十二指腸切除術膵頭部を中心とする癌では、十二指腸、総胆管、胆嚢を含めて膵頭部を切除します(図1)。昨今は胃を温存する方法が採られ、食事摂取も十分可能です。この術式では病巣切除後、残った膵臓や胆管と空腸を繋いで、膵液や胆汁が消化管内に流れるようにします(図2)
また、膵後面の門脈(腸で吸収された栄養分を肝臓に運ぶ血管)に癌が広がっている疑いがある場合、門脈の一部を併せて切除し、血管を繋ぎます。このように切除後に残った臓器が機能するように繋ぎ合わせることを再建術と云い、この術式は切除・再建共に高難度の手術で、手術時間は4~6時間を要します。
 

膵頭十二指腸切除術
(図1)

膵頭十二指腸切除術後の再建方法
(図2)

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「患者さんのための膵がん診療ガイドラインの解説」 日本膵臓学会


(2)膵体尾部切除術癌が膵体部から膵尾部に発生した場合、膵体尾部と共に脾臓を切除します。癌が周囲の胃や大腸に及ばない限り、切除後の再建術は要しません。

(3)膵全摘術癌が膵臓全体に広がっている場合、膵臓と十二指腸、総胆管、胆嚢を切除する膵全摘術が行われます。この術式では、胆管と空腸、胃と空腸を繋いで再建します。癌が膵管内に留まる膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)では、膵管を全部切除する膵全摘術が最も根治的な治療法です。
膵手術後の合併症で最も危険なのは、膵臓を縫い合わせた箇所から膵液が漏れる膵液漏です。漏れた膵液によって膵臓自身が自己消化される急性膵炎、周囲臓器や血管が消化されて起こる腹腔内膿瘍・出血等また、胆管と空腸を繋いだ箇所から胆汁が漏れる胆汁漏等もあります。
これら高難度の膵手術は、合併症等を含めた術後管理が重要で、症例数が一定数(年間20例)以上ある専門医のいる病院で受けることが推奨されています(膵癌診療ガイドライン:日本膵臓学会)。

 

化学療法

化学療法は、抗癌剤を用いた全身的な治療法です。切除不能な進行膵癌や術後の再発が見られた場合、または術後、目に見えない癌細胞が再発の原因にならないように予防的投与(術後補助療法)を行います。なお、切除不能な場合でも一定期間、化学療法を行うことで癌が縮小して根治切除ができることもあります。

放射線療法

放射線療法は、癌細胞を破壊するために放射線を患部に当てる(照射)方法で、通常は体の外から放射線を照射する外照射が行われます。なお、膵癌に対する同療法の有効性は証明されていません。

症状緩和維持療法

手術で切除できない場合、癌の進行に伴う種々な症状を和らげる治療( 緩和療法)が必要です。具体的には、黄疸や疼痛対策、胃腸バイパス手術(十二指腸が癌で塞がれ、食事摂取できない場合に胃と腸を繋ぐ方法)等がありますが、特に痛みを和らげて生活の質を保つことが大切です。また、家族の精神的な支えも予後の厳しい膵癌患者様には、とりわけ重要です。癌の症状を和らげ、抗癌剤の副作用を軽減し、決してあきらめないで快適な生活を続けることこそが、患者様の尊厳を保つことに繋がると確信しています。

まとめ

膵癌には、原則として外科手術が選択されますが、高難度の手術となります。加えて、合併症を含めた術後管理が重要であるため、診療ガイドラインでは専門病院での治療を推奨しています。

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