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膵臓病講座

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第5回 膵癌について(前編)

はじめに

膵癌は、早期の症状が乏しいため、発見された時には既に周囲臓器にまで拡がっているケースも多く、最も難治性の癌と云われています。前編では、その病因や症状、診断法等について説明いたします。

膵癌の特徴

膵癌は、罹患数・死亡数共に直近5年間で20%増加しており、最新の推計患者数は約35,000人、死亡数は約31,000人(死亡率91%)に上り、また高齢患者数も増え続ける等、極めて厳しい状況です。
膵癌の特徴として ①90%が進行癌で早期診断が極めて困難である ②外科的切除の可能な膵癌は30%程度で、かつ進行が早い ③初期の特徴的な症状が少ない ④5年生存率は10~15%である ⑤化学療法や放射線療法の効果に乏しい ⑥罹患率イコールほぼ死亡率であることが挙げられます。

膵癌の原因

膵癌の主因(危険因子)として、以下が挙げられます。

①喫煙:喫煙者は非喫煙者の2~3倍の危険性があります。
②糖尿病:糖尿病の方は膵癌になりやすく(約2倍)、また膵癌になると糖尿病を併発(26%)します。次のような場合は、特に注意が必要です。

  • 3年以内に急激に発症した。
  • 血縁者に糖尿病の方がいないのに発症した。
  • 高齢で発症した。
  • 糖尿病治療中に急激に悪化した。
  • 食欲不振や体重減少を伴う。

③慢性膵炎:長い経過の慢性膵炎では、膵癌の危険性が増します(4~8倍)。非代償期のように膵機能が衰えてから痛みが出てくる場合は、特に注意が必要です。
④家族性:家族に2人以上の膵癌の方がいる場合、危険性が増します(13倍)。
⑤肥満:脂肪食の過剰摂取や※BMI30以上の場合、危険性が2倍になります。
 ※BMI:体重(kg)÷(身長(m))2
⑥膵嚢胞性病変:膵癌の前癌病変として慎重な経過観察が必要です。これらの因子に2項目以上該当する場合、膵癌になる可能性が高いため、膵臓の検査をお勧めします。

膵癌の症状

膵癌は、発生する部位により膵頭部癌と膵体尾部癌に大別され、症状が異なります。膵頭部癌では、癌が膵臓内の総胆管を圧迫・閉塞するため、胆汁の流れが悪くなり黄疸(閉塞性黄疸)や血液検査での肝機能・胆道系酵素の異常が生じます。同時に、膵管も圧迫され膵液が滞るため、膵炎様の痛みや膵酵素の上昇を引き起こします(閉塞性膵炎)。これが十二指腸に拡がると潰瘍や狭窄が生じるため、症状や諸検査で異常が出て、発見の端緒になることも少なくありません。
一方、膵体尾部癌は膵管の上流に発生するため閉塞性膵炎は余り生じず、胆管や周囲臓器への影響も少なく症状が乏しいため、発見時には相当進行しているケースが散見されます。そのため、膵頭部癌の外科的切除率に比べて、膵体尾部癌の切除率は極めて低くなります。(図1、2)
いずれも膵癌は、進行すると周囲臓器に影響が及び下痢・便秘、腹痛・腰背部痛、潰瘍・出血、狭窄、腹水貯留や腸閉塞等の様々な症状が発生します。このような状態では、一時凌ぎの治療しか行えず治療効果は期待できません。
以上のように、症状がある場合は進行癌であることが多く一方、初期の膵癌では特徴的な症状がないことから、早い段階で発見することは容易ではありません。多くは「胃の周辺や背中が重苦しい」「お腹の調子が良くない」「食欲がない」等の漠然とした症状から受診されますが、胃腸の検査では異常がなくても症状が続くときは要注意です。

膵癌の診断

膵癌の診断には、まず血液検査で膵酵素や腫瘍マーカーを調べます。これらに加えて、超音波検査やCT検査、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)等の画像診断を組み合わせて総合的に診断します。異常所見があれば、数ヶ月の間隔で診断評価を繰り返し行います。なお、画像診断法により90%近くは診断可能と考えますが、手術時に開腹すると、術前画像で得られた所見は氷山の一角に過ぎず、癌がそれ以上に拡がっていることも少なくありません。そのため、膵癌の診断には癌が有るか無いかの存在診断よりも、その拡がり方(進展度)を観察し、外科的切除が期待できる癌であるか否かを診断することが最も大切です。

まとめ

膵癌は、初発症状が乏しいため早期に発見することは容易ではありません。一方、症状がある場合、既に進行癌であることが多く予後も極めて厳しいため、専門病院での定期検査をお勧めします。

膵頭部癌の病態
(図1)

膵体尾部癌の病態
(図2)

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