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膵臓病講座

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第4回 慢性膵炎について

はじめに

前回は、代表的な膵臓病のひとつである急性膵炎について解説いたしました。今回は、引続いて慢性膵炎について、その症状や原因、治療法等を説明いたします。

慢性膵炎とは

急性膵炎等により膵臓の炎症が繰り返されると、次第に正常な組織が破壊され硬くなります(線維化)。また、膵臓の一部にカルシウムが沈着する(石灰化)こともあります。その結果、正常な細胞は減り続け、膵臓の働きが低下して様々な症状が生じます。このように慢性膵炎は、膵臓の機能が徐々に損なわれていく進行性の病気で、発症すると元の正常な状態には戻りません。
我が国では、慢性膵炎の発症者は年々増加しており、その数年間約50,000人で、男性は女性の約3倍も多く発症しています。

慢性膵炎の症状

膵臓の各所が常に炎症している状態で、病気の進行度(病期)により症状が多様に変化します。

①潜伏期:発症前の時期
②代償期:慢性膵炎の早期、膵臓の組織が正常で機能が比較的保たれている時期
 →膵臓の正常な組織が炎症を起こすため、腹痛や背部痛の他に嘔気、食欲不振、腹部膨満感、全身倦怠感等が見られます。
③移行期:代償期から非代償期へ移行する時期
④非代償期:慢性膵炎の後期、膵臓の組織が破壊され働きが著しく低下した時期
 →膵臓の組織が破壊され、痛みは余り感じない反面、働きが低下し消化液の分泌が減少するため、下痢、体重減少、脂肪便等が見られます。また、インスリンの分泌が減少するため、糖尿病になることもあります。

慢性膵炎の原因

慢性膵炎の主因として、アルコール、急性膵炎、胆石、原因不明(特発性)が挙げられます。性別でみると、男性ではアルコールが約80%、女性では特発性が半数を占めます。また、アルコール性慢性膵炎患者のうち80%が喫煙家という報告もあります。他に、膵臓損傷、高脂血症、膵・胆管奇型、副甲状腺機能亢進症や遺伝性・家族性の慢性膵炎もあります。更に、最近では自己免疫性膵炎も注目されています。

慢性膵炎の診断

慢性膵炎の診断には、まず血液・尿検査で外分泌機能(食物の消化に必要な消化酵素を分泌する機能)が低下していないか、糖尿病が潜在していないかを調べます。また、超音波検査やCT検査、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)等の画像診断により、膵石の有無、石灰化、膵管の塞がりや狭窄・不整、膵組織の線維化や減少を調べます。なお、慢性膵炎は10 年以上の長期間に亘るため、その間に診断評価を繰り返し行います。

慢性膵炎の合併症

慢性膵炎の主な合併症として、以下が挙げられます。

①膵石:膵管内にできる結石で、膵液の流れを妨げて痛みや炎症の原因となり、慢性膵炎の40~50%に見られます。内視鏡的治療が中心で、除去困難例では外科手術も行います。
②膵仮性嚢胞:膵臓やその周囲に液体の溜まった袋ができた状態です。自然に消失することもありますが、出血や感染を起こすと治療を要します。超音波下、CT下に穿刺します。
③総胆管狭窄:膵頭部の炎症が高度な場合、膵内胆管が狭窄し胆汁の流れが悪くなり、黄疸や胆管炎を発症することがあります。内視鏡的ステント挿入を行います。

その他、炎症が周囲の臓器(十二指腸・大腸等)に及ぶ合併症等があります。

慢性膵炎の治療

線維化や機能低下等の進行を防ぐ治療(保存的治療)が基本で、病期により治療方針は異なります。なお、アルコール性の場合、禁酒が大前提です。

①代償期:腹痛・背部痛に対する薬物療法や禁酒、脂肪食の制限等に並行し、薬物療法を中心とした内科的治療を行います。なお、急性期には急性膵炎に準じた治療を行います。
②移行期:代償期と非代償期の症状が混在するため、両時期の治療を使い分けます。
③非代償期:痛みが緩和または消失するため、消化吸収障害や糖尿病等の膵臓機能低下を補充する治療が中心となります。なお、禁酒や食事制限は代償期と同様です。

以上、慢性膵炎に対しては内科的治療が中心で、最近では薬物療法に加えて内視鏡による治療成績も向上しています。一方、保存的治療では軽快しない頑固な痛みには、外科手術により痛みの原因である膵臓の炎症巣を取り除きます。また、膵癌等の癌死亡例が45%見られることも注意を要します。

まとめ

慢性膵炎は進行性の病気であり、完治はしません。しかし、適切な治療や経過観察を受けることで、多くの方は症状が軽快し社会復帰しています。なお、内視鏡的治療や外科手術は難易度が高く、術者の熟練を要するため専門病院での治療をお勧めします。

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